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文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻6号

1975年06月発行

文献概要

胃と腸ノート

興味ある胃病変の病理解説(6)

著者: 下田忠和1 佐野量造1

所属機関: 1国立がんセンター研究所第一組織病理

ページ範囲:P.782 - P.782

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 症例 7 39歳 男(O-13518)

 切除胃の肉眼像(Fig. 1)では幽門部に小彎を横切る線状潰瘍が認められ,このために小彎は非常に短縮している.また,潰瘍のoral側にはくびれを有した粘膜の限局性隆起が認められる.幽門部の線状潰瘍には前,後壁より著明な粘膜ヒダの集中が,さらにその先端には明瞭なⅡcの蚕喰像が認められる.このⅡcの蚕喰像はシェーマ(Fig. 2)に示す範囲にみられ潰瘍の偏側性である.また,前壁の粘膜ヒダの2本が先端でH型に融合し,この部分で癌細胞が粘膜下層以下に浸潤していることがうかがえる.組織学的には本病変はUl-Ⅳの潰瘍を伴い前述した粘膜ヒダの融合部分で固有筋層内に浸潤したⅡc進行型の胃癌であった(大きさ5.4×2.2cm,リンパ節転移なし,0/17),本病変の口側の限局性粘膜隆起は体部腺領域に存在している.体部の粘膜ヒダが限局性の肥厚を来たし,その表面の性状は乳頭状または顆粒状を呈している.この所見より限局性肥厚性胃炎が最も考えられる.この部分の割面像ではFig. 3に示すように固有粘膜はanal側の粘膜に比較して著しく肥厚している.さらにその表面は顆粒状の変化を呈している.この部分の拡大では(Fig. 4)組織学的に単純な体部腺粘膜の肥厚を示すSchindlerの言うGlandular hypertrophic gastritisまたはSimple hypertrophyの像に相当する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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