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文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻8号

1975年08月発行

文献概要

今月の主題 クローン病とその周辺 主題

クローン病の臨床像

著者: 石川誠1 渡辺晃2 山岸悟郎3 五味朝男2 正宗研2 東海林建一2 山形敞一2

所属機関: 1山形大学医学部第2内科 2東北大学医学部山形内科 3山形大学医学部保健管理センター

ページ範囲:P.1027 - P.1037

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 Crohn病はCrohnら(1932)1)がregional ileitisの名称で記載した回腸末端部の非特異性肉芽腫性炎症であるが,のちには回腸末端部以外の消化管をも侵すことが明らかにされたものである.その概念に関しては,最近WHOのCIOMS2)(Council for International Organizations of Medical Sciences医科学国際組織委員会)では「主として若い成人にみられる原因不明の疾患で,線維増生と潰瘍を伴う肉芽腫性炎症性病変で,消化管のどの部位をも侵すものである.本症では腸以外の部分(特に皮膚)に転移性病変を認めることがある.最初回腸末端部の疾患(回腸末端炎)として記載されたが,その後口腔から肛門まで消化管のどの部分をも侵すことが明らかにされた.臨床像は病変部位やその拡がりに応じて異なり,発熱,栄養障害,貧血,関節炎,虹彩炎,肝疾患などの全身性合併症を伴うことがある」と述べられている.本症は,従来はregional enteritis(限局性腸炎)とも称せられているが,CIOMS2)では英語ではCrohn's disease,フランス語ではmaladie de Crohn,スペイン語ではenfermedad de Crohnと呼ぶとするとともに,本症をCrohn-Lesniowski diseaseとは呼ぶべきではないとしている.

 一方,右側結腸に限局している非特異性大腸炎や区域性病変を示す非特異性大腸炎はregional ulcerative colitis(Bargen & Weber3),1930),right-sided(regional)colitis(Crohn & Berg4),1938),regional segmental colitis(Bargenら5),1945)などと呼ばれ,従来潰瘍性大腸炎の一病型とみなされていたが,近年このようなもののなかにCrohn病に似た肉芽腫性病変を示すもののあることがLockhart-Mummery & Morson6),Janowitz7)らによって明らかにされ,granulomatous colitis(肉芽腫性大腸炎),Crohn's disease of the colon(大腸Crohn病),regional enteritis of the colon(大腸の限局性腸炎),transmural colitis(全層性大腸炎)などと称せられている.しかるに,CIOMS2)よれば,本症は「主として右側結腸を侵し,ときに閉塞や他の腸管,膀胱,骨盤内臓器とのあいだに瘻孔を生ずる区域性,肉芽腫性,全層性の炎症性病変である.大腸のCrohn病と考えているものが多いが,特発性大腸炎(ulcerative colitisと同義語)と混同されることも多い」とあり,名称は,それぞれ英語ではregional colitis,フランス語ではclite régionale,スペイン語ではcolitis regionalである.さらに,本症をgranulomatous colitisと称することはさしつかえないが,regional migratory ulcerative colitis,right-sided colitis,segmental ulcerative colitisなどの名称は用いないほうがよいとしている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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