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文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻8号

1975年08月発行

今月の主題 クローン病とその周辺

主題

クローン病の病理組織学的診断

著者: 斎藤建1 高橋敦1 町田武久1 加藤洋2 喜納勇3

所属機関: 1自治医科大学病理学教室 2東京大学医学部病理学教室 3浜松医科大学病理学教室

ページ範囲:P.1053 - P.1061

文献概要

 Crohn病1)の病理組織学的診断は成書2)~4)の記載に従えば困難ではない.最近までの本邦における混乱は,本疾患を1つの疾患単位(clinicopathological entity)としてとらえず,回腸末端炎,あるいは非特異性限局性腸炎という邦訳名を通してのみ理解したことによると考えられる.1960年代前半まで,回腸末端に原因不明の炎症を認めれば,その臨床像,組織像はどうであれ回腸末端炎,すなわちCrohn病と解釈された.その多くは急性回腸炎であり,石倉5)はその大半は腸アニサキス症と考え,その後,急性回腸炎はCrohn病から除外されるようになった.しかし,腸に限局性に原因不明の慢性非特異性炎症を認めればCrohn病と解釈する傾向は続いた.

 特異性炎とは増殖性炎の型をとって経過する際に形成される肉芽組織が,その疾患に特異的な組織像を呈する肉芽腫の型をとる場合に用いられる名称である.肉芽腫とは肉芽組織より成る腫瘤6)という意味であるが,組織学的には大型単核球(類上皮細胞)および巨細胞より成る球状の結節を意味する.特異性肉芽腫を形成する疾患の代表として結核があるが,結核菌感染症でも時に肉芽腫を欠き,瘢痕化した場合,肉芽腫が消失することは稀でない.また結核のように原因が明らかな疾患のみを特異性炎と呼ぶことが多いが,肉芽腫性炎と同義語に解釈し,サルコイドーシス等の原因不明の肉芽腫も特異性肉芽腫に入れる人もいる8)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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