icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸10巻9号

1975年09月発行

文献概要

胃と腸ノート

大腸血管造影のmerit(2)

著者: 木戸長一郎1

所属機関: 1愛知県がんセンター放射線診断部

ページ範囲:P.1226 - P.1226

文献購入ページに移動
 大腸の悪性腫瘍と血管撮影

 大腸のレ線診断は通常Bariumによる造影が容易に行われ,撮影技術の向上によって詳細な所見が得られるようになった.しかしこれは内視鏡と同様,粘膜面での病態の把握にとどまるのであるが,血管撮影では腫瘍に分布する血管像からその浸潤範囲や隣接臓器との関係を漿膜面から観察することが可能となる.特に悪性腫瘍の際の特徴の一つである腫瘍濃染は腸管内に注入された空気によって腫瘍の厚さを如実に示すことになり,このような把握の仕方は極めて興味深く,肝や腎の如き実質臓器とは異り,大腸の如き管腔臓器に対する血管撮影の漠然とした躊躇を排除するよすがともなるのである.

 大腸癌は他臓器における癌と同様な特徴を血管像の上から示し,これが炎症性疾患との鑑別を可能にする.一方,非上皮性腫瘍との鑑別はLeiomyomaを除いて決して容易ではないとも言われている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?