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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻1号

1976年01月発行

症例

経十二指腸的逆行性胆道造影法により描写しえた先天性総胆管拡張症の3例

著者: 何汝朝1 酒井一也1 村山久夫1 田代成元1 市田文弘1 斉藤秀樹2 吉田圭介2 武藤輝一2

所属機関: 1新潟大学医学部第3内科 2新潟大学医学部第1外科

ページ範囲:P.77 - P.81

文献概要

 先天性総胆管拡張症は比較的まれな疾患であるが,本邦人にとくに多く,Alonso-Lej1)らの419例のうち約1/3が本邦例である.本症は小児の疾患として注目されてきたが,最近では診断法の発達により,成人例についても数多く報告されるようになった.従来は主として排泄性胆管胆囊造影法で診断されていたが,近年では十二指腸ファイバーによる逆行性胆道造影法による本症の症例報告が散見されるようになった.しかし逆行性胆道造影法による本症の文献的報告はいまだ少ない.本疾患の特殊性から,本法による手技上,上行性感染がとくに懸念されているが,本法は厳重な感染予防のもとでの観察を行なえば,術前診断として詳細に胆道の形態を把握することができる.最近本法実施によって拡張胆管を観察することができた3症例を経験したので,2,3の検討を加えて報告する.

症例

 〔症例1〕21歳 女性

 小学3年頃,心窩部痛が出現し,開業医を転々としたが原因不明のまま経過していた.1973年末頃からとう痛が増強し,嘔気と微熱が出没するため,某病院で総胆管拡張症の疑いで本学外科へ紹介入院・入院時,右季肋部下に圧痛を認めたが諸検査成績では表1のように,軽いトランスアミナーゼの上昇を認めた.十二指腸ファイバーを施行したところ,乳頭は半球状で腫大や発赤など炎症性所見は認めなかった.逆行性胆道造影では図1のように総胆管の著明な拡張を認めるが,肝内胆管や胆囊管は拡張は認められず,むしろ狭小であった.本例は胆囊,総胆管摘出術を行ない,胆管,空腸吻合術(Roux-Y)を施行した.図2は切除標本で,胆囊内に米粒大結石を2コ認め,コレステリン沈着によるStrawberry gallbladderの状態を呈していた.術後経過は良好で退院した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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