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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻1号

1976年01月発行

症例

5年生存を得た膵頭部腺房細胞癌の1例

著者: 出雲井士朗12 高橋孝3 深見敦夫3 高木国夫3 金孟和4 熊倉賢二34 坂元吾偉5 中村恭一5

所属機関: 1癌研究会附属病院外科 2東京医科大学第1外科 3癌研究会附属病院外科 4現 慶応義塾大学放射線診断科 5癌研究会癌研究所病理部

ページ範囲:P.91 - P.98

文献概要

 膵臓癌の予後は近年における著しい診断技術面での進歩,外科治療面での進歩にもかかわらず,きわめて悲観的であり,いまだこの暗黒の大陸を早期癌として診断治療することは困難である.筆者らは分化の高い膵腺房細胞癌の1例に膵頭十二指腸切除を施行し,5年生存を得たのでここに報告する.著者らの渉猟しえた範囲では,本邦においての膵腺房細胞癌の5年生存例の報告は無く,欧米文献にもその長期生存例を見ない貴重なる症例と考えている.

症例

 症 例:K. M(♀)36歳

 家族歴:特記すべきものはない.

 既往歴:18歳 急性虫垂炎虫垂電切除.酒少量,煙草20本/日.

 現病歴:1969年1月初,右季肋部に鳩卵大の腫瘤に気づく.同年9月初,腫瘤全体の硬度は増し,同部位にとう痛が発現,近医を受診,胃X線検査にて異常を指摘された.同年10月4日当院外科受診.全経過を通じて,貧血,黄疸,体重減少は認められない.病悩期間10カ月.

 現 症:体格中等度.黄疽,貧血を認めず.右季肋部に11.0×9.0cmの境界鮮明なる硬い表面平滑の腫瘤を触知,可動性はない.肝腫脹,脾腫脹,腹水,脾動静脈血管雑音,Courvoisier's signはいずれも認められない.

 一般検査:ー般検査所見をTable 1に示す.血清アミラーゼ値の軽度上昇を認めたほか,特に異常を認めず,P. Sテストなど膵外分泌試験は施行していない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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