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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻10号

1976年10月発行

今月の主題 胃スキルスの病理

主題

胃びまん性癌における粘膜内癌浸潤と線維化についての病理学的考察

著者: 下田忠和1 広田映五2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学病理 2国立がんセンター病理部

ページ範囲:P.1265 - P.1274

文献概要

 わが国では臨床的にスキルスと呼ばれているものとBorrmann 4型胃癌は同じものと解釈されている.しかし病理学的にはスキルス,Borrmann 4型癌,びまん性癌,linitis plastica等といわれているものは各研究者によりその定義は多少異なっている.現在はこれらの名称がいずれも使われ,スキルスの定義をめぐり混乱を来している状態である.欧文の文献にみられるlinitis plastica,びまん性癌,Borrmann 4型癌はいずれも高度の膠原線維の増生を伴い,胃壁全体が平板状に硬化し,leather bottleとも呼ばれる外見を呈するもので,わが国で臨床的に呼ばれてきたスキルスに相当する.

 著者らは今までこのような癌は予後の最も悪いもので,大部分は3年以内に死亡し,臨床的,病理学的に通常の胃癌とは生物学的に異なった性格を有する特殊な癌であることを主張してきた.すなわち,Borrmann 4型癌は臨床的には一見非常に経過が早く,また病理学的には単に表層拡大型胃癌の末期像ではなく,特殊な進展形式を示し,かつ胃全体に高度の線維増生を来す癌であることを,臨床経過追跡資料および外科的手術材料よりその究明に努めてきた.これらについては今まで多くの発表をしてきたので,今回はびまん性癌の肉眼像および高度の線維増生(fibrosis)の成因について病理学的な著者らの考えを述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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