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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻10号

1976年10月発行

文献概要

今月の主題 胃スキルスの病理 主題

スキルスの概念と組織発生

著者: 吉井隆博1

所属機関: 1埼玉医科大学第1病理教室

ページ範囲:P.1297 - P.1305

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 ピポクラテスは種々の硬化性病変に対して既にスキロス(硬質)という語を使用しており,その後,硬化の強いがんに対してのみに使われるようになったが,恩師緒方知三郎先生は著書「病理学総論」1)に基質がきわめて多く,がん細胞の少ないものがcarcinoma scirrhosumあるいは単にscirrhusであると述べている.このようながんは胃がん,乳がん,コランジオーマなどにしばしば見られる型であるが,それらは発生母地およびがん細胞の特殊性からそれぞれ性格を異にする.Konjetzny(1926)2)はびまん性に硬化,縮小する胃がんをskirrhusとcarcinoma fibrosumの2型に分けることを提案した.また,Brinton(1859)3)は,当時,原因を解明することができなかった胃の硬化縮小性病変に対しlinitis plasticaと名付けた.本邦においてはBorrmann 4型,スキルス,linitis plasticaの3つの用語が雑然と,あるいは同義語として使われ,このため胃がん研究に多少の混乱が起こっているように思われる.これらの用語が現れた事情についてもう一度原点にもどって吟味し,さらにスキルスの発生に関する問題を病理学的立場から述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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