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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻10号

1976年10月発行

文献概要

研究

胃スキルスの生化学的研究―コラーゲン生合成の立場から

著者: 竹内正1

所属機関: 1東京女子医科大学消化器内科

ページ範囲:P.1321 - P.1326

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 進行胃癌のうちでスキルスと呼ばれるものは,漠然と早期発見がおくれたための終末結果であろうと考えられていることもあるが,多くの臨床家の経験では,他のタイプの胃癌とは異なった特殊な癌であるとする印象が強いように思われる.すなわち,予後は最も悪く,発病年齢が他の胃癌よりも比較的若く,やや女性に多いこと,しかも早期診断が困難で,短期間のうちに終末像になることなど特異な進展過程をとる胃癌として理解されていると思う.

 一方,スキルスの胃壁内での進展形式をみると,粘膜の癌巣の大きさに関係なく,それよりもはるかに広い範囲に粘膜下では浸潤している.しかも,胃壁硬化が完成する前に胃壁の伸展が比較的よく保たれている水腫状の時期があることが逆追跡の資料や病理所見から推測された(佐野,下田).このようなことからスキルスの胃壁硬化をきたす以前には,粘膜面の異常は認めにくく,胃壁の伸展性も比較的良好であるので内視鏡診断・レントゲン診断が困難な状況におかれている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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