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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻12号

1976年12月発行

文献概要

今月の主題 放射線診断の最近の進歩 主題

各種CTの概説と将来の展望―特に消化器

著者: 舘野之男1

所属機関: 1放射線医学総合研究所臨床研究部

ページ範囲:P.1553 - P.1561

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 電子計算機を用いた断層撮影法は,1973年のHounsfieldの装置による頭蓋内疾患診断の成功以来,臨床の各分野で大きな関心を呼んでいる.その主な理由は,今までのX線写真では判別のつかなかった脳脊髄液,脳実質,出血,硬塞,浮腫,腫瘍などX線吸収差のあまり大きくないもの同士も識別できるようになったことにある.この事実は,特に腹部臓器のように,各臓器組織のX線吸収の差が少なく,単純X線写真の限界が鋭く意識されていた領域では,この方法に特に大きな期待を集めさせることとなった.

 その結果,腹部に関してはほとんど実績がないうちから,学問に無縁の要因に動かされて人気だけが先行したし,他方では,現状だけから判断して早くも失望の声を洩らす人も出はじめている.しかしながら,この技術は生まれてまだ間もない.たとえば胸部X線検査のように一見単純な技術でも,臨床家が一応使いこなすまでには25年の年月を要したし,胃X線検査にいたっては50年の年月を要した先例もあることである.この技術も,もし将来真に消化器診断に貢献するとしたら,無数の臨床家の数十年にわたる努力を,栄養源として要求することであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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