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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻3号

1976年03月発行

文献概要

症例

内視鏡的に診断し得た類腺癌(Adenoacanthoma)の表層拡大型早期胃癌の1症例

著者: 渡辺豊1 中村紀夫1 岩崎晃1 久富冲1 山下広2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学長尾外科教室 2東京慈恵会医科大学病理学教室

ページ範囲:P.347 - P.352

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 胃の類腺癌は極めて稀とされ,福田ら36)によれ

ば内外文献を通じて72例,うち本邦例は22例にすぎなかったという.また福田36),中村31),緒方33),佐野34),鮫島35),桑原37),松永38)らの例を加えると本邦例は40例となり,早期胃癌だけに限ってみると,鮫島らの報告した1例だけである.われわれも最近,類腺癌の早期胃癌例を経験した.本例は早期胃癌例として第2例目であり,また術前の内視鏡検査によって類腺癌と診断された最初の例となる.しかも本例は病理組織学的に多彩な所見を示し,発生論的にも興味ある症例と思われるので報告する.

症例

 患 者:72歳女子

 主 訴:全身倦怠感,食後の胃部不快感

 家族歴:両親ともすでに失っているが,生前は比較的健康であつた.兄弟および子供は健在で,胃疾患,胃症状をもつものはいない.

 既往歴:50年来,ときどき食後に胃部不快感と軽い心窩部痛をおぼえることがあったが,とくに治癒をうけるほどではなかった.

 現病歴:約2年前から心悸亢進,食欲不振の症状がみられるようになり,その後,さらに胃部不快感,全身倦怠感なども加わってきたので胃のレ線検査を受けたところ,幽門部に異常を指摘され,精密検査をうけるために当科受診となった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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