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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻4号

1976年04月発行

今月の主題 研究・症例特集

研究

胃粘膜下腫瘍の確定診断―胃穿刺吸引細胞診について

著者: 添田修二1 近藤直嗣1 赤司光弘1 伊藤俊哉1 土屋凉一1 二ツ木浩一2

所属機関: 1長崎大学医学部第2外科 2長崎大学医学部第2内科

ページ範囲:P.425 - P.430

文献概要

 一般に胃に発生する腫瘍は大部分が癌腫で,それ以外の非癌性腫瘍は比較的少ない.この非癌性胃腫瘍のなかで,比較的しばしばみられるのは上皮性の良性腫瘍であるポリープである.その他の非上皮性腫瘍が所謂胃粘膜下腫瘍である.さらに非上皮性腫瘍ではないが,迷入膵,好酸性肉芽腫等も粘膜下にある時には胃粘膜下腫瘍として取り扱われている.本邦に於ける胃腫瘍の診断は,胃癌,殊に早期胃癌の診断に努力がはらわれ,診断率は100%近くに達している.一方,胃粘膜下腫瘍の診断に関しては種々の試みがなされているが,未だ満足すべき方法はない.われわれは胃癌の診断に,胃生検と併用して胃穿刺吸引細胞診を行い良好な成績を得たので,さらに胃粘膜下腫瘍の診断にも応用した.先ず胃穿刺吸引細胞診の方法を述べ,本法が胃病変,特に胃粘膜下腫瘍の診断に有効であることを強調したい.

器具および方法

 胃穿刺吸引細胞診は,胃生検用ファイバースコープ(GFB2)を用い,生検鉗子の代りに穿刺吸引針(Fig. 1)を直視下に病巣に刺入,直接病変部より細胞を吸引採取する方法である.長さの異る2種類の穿刺吸引針(4mm,6mm)を準備し,病巣の深さに応じて適宜使用している.以下本法の実施方法を述べる.
①生検用ファイバースコープを挿入,目的の病変をとらえる.
②鉗子孔を通して穿刺吸引針を挿入,目的の部位を粘膜を通して穿刺する(Fig. 2).
③20mlのディスポ注射器に1mlの生理的食塩水を容れ,これを穿刺吸引針に接続.注射器に陰圧を加えることにより,粘膜下組織の吸引を行う.
④この操作を部位を変え,あるいは針の長さを変え数回行う.
⑤採取された検体は主として穿刺針内に留っており,あらかじめ注射器内に容れた生理的食塩水にて99.5%エチルアルコール2ml内に噴射する.この操作により細胞は約70%エチルアルコールにて直ちに固定されることになる.
⑥遠沈によって得られた沈渣よりPapanicolaou染色塗沫標本ならびにH-E染色Cell-Block標本を作製する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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