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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻4号

1976年04月発行

今月の主題 研究・症例特集

研究

吐血を主訴とした胃癌の6例

著者: 池田耕12 池尻其行12 羽栗純夫12 村上浩12 太田智規12 吉村雪夫12 小山田千秋3 田中昌俊3 渡辺正剛3 森松稔4

所属機関: 1済生会福岡総合病院外科 2福岡大学医学部第2外科 3済生会福岡総合病院内科 4久留米大学医学部第2病理

ページ範囲:P.431 - P.439

文献概要

 胃癌の大部分は腫瘤の崩壊によって潰瘍を形成し,その表面から出血する.しかし,胃潰瘍の揚合にみられるような大量出血をみることは稀で,潜血反応で認められる程度の微量出血であることが多い1).筆者らは最近,6例の吐血を主訴とする胃癌症例を経験したが,1例を除き,癌性潰瘍の大きさや深達度は必ずしも高度なものではなく,全例とも十分根治手術可能であった.これらの症例を供覧するとともに,顕出血を主訴とする胃癌症例の術前診断,切除胃標本の性状等について若干の文献的考察を加えて検討してみた.

症例

 〔症例1〕26歳 男

 生来,健康で特に自覚症状はなかった.通勤途中,約400mlの吐血をし,当院外科に入院した.入院直後,再度約300mlの吐血をした.

 胃X線所見:2度のX線検査で特記すべき所見を発見できず,胃内視鏡診断後,3度目のX線検査で,胃体上部大彎に不整皺襞集中を認めた.

 胃内視鏡所見:胃体上部大彎に皺襞集中を伴った辺縁不整な潰瘍があり,Ⅱc+Ⅲ型早期胃癌と診断した.

 胃生検でgroupⅤと診断し,幽門側胃亜全摘出術(リンパ節廓清度R2)を施行した.

 切除胃肉眼所見:胃体上部大彎に1.5×1.2cm大の皺襞集中を伴った不整潰瘍があり,その潰瘍底部に露出した血管の断端を認めた.組織学的所見はTable6参照.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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