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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻4号

1976年04月発行

今月の主題 研究・症例特集

症例

著明な間質反応を伴った胃のいわゆる癌肉腫の1例

著者: 富永浩平12 ニツ木浩一3 牧山和也3 松永圭一郎3 久松厳4 高原誠4

所属機関: 1長崎大学熱帯医学研究所病理学部門 2東京都立駒込病院病理学科 3長崎大学医学部第2内科 4是真会東望病院

ページ範囲:P.467 - P.473

文献概要

 胃に発生する癌肉腫は稀な疾患である.著者らがここに報告するものは肉眼的にはBorrmannⅡ型進行胃癌が疑われたが,組織学的に著明な間質反応を伴う腫瘍であって,これを癌肉腫とすべきか,肉腫様形態を伴う異型的な癌腫とすべきか判断に迷うものである.元来,癌肉腫のentityに関しては諸家により見解を異にし,その存在自体を疑うものも多いが,本症例の特異な組織像より著者らは“いわゆる癌肉腫”として報告する.

症例

 患 者:63歳 男性

 主 訴:心窩部重圧感

 家族歴:父(43歳)と母(80歳)共に胃癌で死亡.同胞5人には特記事項なし.

 現病歴:約20年前より某院で便秘のため冶療を受けていた.1970年8月30日,心窩部に重圧感および膨満感があり是真会東望病院を訪れたが,心窩部痛,胸やけ,嘔気その他の消化器症状はなかった.同年9月1日,胃X線検査を受け前庭部小彎に巨大潰瘍があり穿通性胃潰瘍を疑われ同院に入院した.

 入院時現症:体格大,栄養状態良好.眼瞼結膜に貧血なく,眼球結膜に黄疸なし,脈拍80整,緊張良好,血圧130/70.口腔および咽頭に著変なく,舌苔厚し.頸部リンパ節腫脹なし.心肺に理学的所見なし.腹部は平坦.軟で圧痛,抵抗もなく腫瘤触知せず.肝,脾,腎はともに触知せず.下肢に浮腫なく腱反射正常で病的反射なし.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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