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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻4号

1976年04月発行

今月の主題 研究・症例特集

症例

腸重積症を併発したPeutz-Jeghers症候群の1例

著者: 菅原一布1 梶塚暁2 広瀬正徳2 アン・イン・セン2

所属機関: 1公立学校共済組合東北中央病院消化器科 2公立学校共済組合東北中央病院外科

ページ範囲:P.493 - P.497

文献概要

 Peutz-Jeghers症候群は1921年Peutz1)によりはじめて記録され,1949年Jeghersら2)によって確立された口唇,口腔粘膜,指趾の色素斑,および胃,腸ポリポージス,単性優性遺伝を示す疾患である.最近われわれは腸重積症を併発したこの典型的な1症例を経験したので報告し,あわせて若干の文献的考察を試みる.

症例

 患 者:11歳 女子 小学生

 主 訴:腹痛及び嘔吐

 既往歴:2歳頃より口唇に色素斑を認め,1973年1月に腹痛,嘔吐を認めた.

 家族歴:父系には口唇の色素斑,腸疾患を認めた者はいない.母系には口唇に色素斑を認める者6名,うち3名が腸手術を受けている,Table1のように祖父①は色素斑を認め腸の手術を受け,腸疾患で死亡している,病名不明.叔父②,③は戦死,⑥は色素斑を認め,その子供⑨も色素斑を認め,時々腹痛を訴えている.叔母④は45歳で子宮癌にて死亡しているが,色素斑を認め,20歳の時,腸軸捻転の手術を受けている.母⑤も色素斑を認め,検査により胃と小腸にポリープを認めた(後述).叔母⑦(35歳)にも色素斑を認め,16歳の時,旅行先にて腸手術を受けている.病名不明.なお腸手術を受けた3症例にポリープが存在したかは不明である.

 現病歴:1974年3月22日,突然激しい腹痛,嘔吐を認め某医を受診し,急性腹症の疑いで当院に入院した.

 入院時現症:体格小,顔貌苦悶性,眼瞼結膜貧血性,口唇および口腔粘膜に粟粒大より小豆大の黒褐色色素斑を認めた.上腹部に大人手挙大の腫瘤を触知し,腹部は鼓音を呈した.手掌,足底および指先にも黒褐色色素斑を認めた(後述).下血は認めない.

 検査成績:便の潜血反応が強陽性であった.腹部単純撮影では鏡面形成みられず,注腸造影でも結腸に異常は認めなかった(Table 2).

 入院後経過:入院後も腹痛,嘔吐は続き,入院第3病日に施行した涜腸後,多量の1血便がみられた.入院第4病日に小腸重積症の診断のもとに開腹手術を行なった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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