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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻4号

1976年04月発行

今月の主題 研究・症例特集

症例

Meckel憩室に発生したカルチノイドの1例

著者: 馬渡敏文1 宮本利雄1 実藤隼人2

所属機関: 1健和会新中原病院外科 2山口大学医学部第一病理学教室

ページ範囲:P.509 - P.511

文献概要

 Meckel憩室は多彩な合併症を伴う奇形であるが,なかでもカルチノイドの合併は極めて稀であり,本邦における報告例は見当らない.著者らは下血と汎発性腹膜炎を呈した19歳男子を手術し,Meckel憩室穿孔を確認し,その後,病理組織学的検索により,偶然,カルチノイドの合併を認めたので,若干の考察を加えて報告する.

症例

 患 者:19歳男子学生

 主 訴:右下腹部痛.

 現病歴:本院入院の半年前,下腹部痛および下血をきたし,約1週間入院4カ月後,再び下血をきたしたが,原因不明のまま放置.入院1週間前より,下腹部痛が続き,急に激痛となり,昭和48年10月8日来院.

 初診時,下腹部全般に著明なBlumberg徴候およびデファンスを認め,圧痛は右下腹部に強かった.眼瞼結膜は貧血性で,Ht29%,Hb8.敬/dl,WBC19,900であった.

 穿孔性虫垂炎の診断のもとに直ちに開腹.腹腔内には混濁した滲出液を多量に認め,穿孔性腹膜炎を思わせた.虫垂は浮腫状を呈するのみで穿孔を認めず,回盲弁より40cmの回腸に,穿孔を伴ったMeckel憩室を見出した(Fig. 1).これを回腸部分切除を加えて摘出し,回腸端々吻合を施して手術完了.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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