文献詳細
追悼
文献概要
1976年2月16日午前9時32分に佐野量造先生が逝去されました.この事実はこれをお読み頂くすべての人々に極めて極めて言いあらわしようもない不快感,悲痛,無情,脱力感のために涙も出ない感慨に落し入れるでしょう.人間にとって涙を流しうる悲しみは,まだ程度がかるいがほんとうの深い悲しみに直面すると涙が出ない.ただ茫然と当惑とがあるのみである.
私事にわたって恐縮に思われるが,小生が佐野先生と面識をえたのは国立がんセンターが出来た時からである.先生は平素「宗教」については語られたことはなかったと思う.もしこれを読まれたかたで,先生から「宗教」についておききになったかたがおありならば,極めて幸福な人であると思う.しかし,先生の平素の小生との会話の中に,この先生は深い宗教的信念をもっていられることは早くから小生にはわかっていた.しかし,小生は先生に一度も宗教の話をしたことはなかったし,話す必要もないと感じた.それほど宗教的なかたであったからである.先生から,小生に頂いた手紙の中で一度だけ,先生の宗教感を充分にしたためてあったのが昭和45年の初秋であった.また先生が医学書院から「胃疾患の臨床病理」を出版され,その発刊祝賀会を行ったときに先生が宗教感をのべられた.ただ二回であった.
私事にわたって恐縮に思われるが,小生が佐野先生と面識をえたのは国立がんセンターが出来た時からである.先生は平素「宗教」については語られたことはなかったと思う.もしこれを読まれたかたで,先生から「宗教」についておききになったかたがおありならば,極めて幸福な人であると思う.しかし,先生の平素の小生との会話の中に,この先生は深い宗教的信念をもっていられることは早くから小生にはわかっていた.しかし,小生は先生に一度も宗教の話をしたことはなかったし,話す必要もないと感じた.それほど宗教的なかたであったからである.先生から,小生に頂いた手紙の中で一度だけ,先生の宗教感を充分にしたためてあったのが昭和45年の初秋であった.また先生が医学書院から「胃疾患の臨床病理」を出版され,その発刊祝賀会を行ったときに先生が宗教感をのべられた.ただ二回であった.
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