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今月の主題 胃潰瘍癌の考え方 主題
胃潰瘍の癌化について―ラットによる実験結果から
著者: 白井智之1 花之内基夫1 伊東信行1
所属機関: 1名古屋市立大学医学部第1病理
ページ範囲:P.599 - P.604
文献購入ページに移動このような臨床的研究の進展と共に実験的解析が問題解決の重要な1手段として取りあげられ,多くの努力がなされてきた.しかし実験的解明には2つの大きな問題が立ちはだかってきた.1つは実験的慢性胃潰瘍の作成であり,1つは実験的胃癌の作成である.両者には共にその確実性と作成法の容易さが要求される.前者においては種々の化学物質の投与1)5),胃壁内への異物や化学物質の挿入2)あるいは外科的粘膜切除13)が試みられてきたが,潰瘍の慢性化,確実性,手技の容易性,潰瘍の非穿孔などを満足する方法としては不充分であった.その中でヨードアセトアミドを飲料水に混じ経口投与するという自然に近い簡単な手法によるラット胃潰瘍の発生実験7)17)は上記の条件をある程度満すものとして注目されるわけである.ヨードアセトアミド胃潰瘍は潰瘍発生部位に特徴があり胃底腺領域に限局性に形成される.本論文ではすぐれた胃癌発生物質としてのMNNGを用い胃底腺部慢性潰瘍の意義について最近の成果を中心に述べてみたい.
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