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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻5号

1976年05月発行

文献概要

今月の主題 胃潰瘍癌の考え方 主題

実験胃癌の経過と潰瘍,びらん―イヌ実験胃癌の発生過程の追求(Ⅱ)

著者: 斎藤貴生1 佐々木攻1 玉田隆一郎1 友田博次2 古沢元之助2 井口潔1

所属機関: 1九州大学医学部第2外科 2国立病院九州がんセンター

ページ範囲:P.605 - P.613

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 最近,開発されたイヌの実験胃癌1)~3)は,胃癌の有力な疾患モデルとして広く注目を集めている.特に,同一個体における胃癌の発生過程をprospectiveに観察することが可能なことから,前癌病変と胃癌発生の関連性や胃癌の発育に伴う諸現象などを明らかにしうると期待されている,著者らは,N-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG)によって誘発されるイヌ胃癌の発生過程を4年2カ月にわたり追跡し,びらんならびに潰瘍性変化が胃癌に先行して発生すること,初期の胃癌には癌巣の潰瘍化やその見かけ上の縮小化(所謂悪性サイクル)がおこることなどの重要な知見をうることができた4).ここでは,経時的観察を行った15頭のうちの代表的な1例,すなわち,胃角部に陥凹型胃癌が発生したNo.3のイヌをとりあげ,その胃癌発生までの経過ならびに初期の胃癌にみられた変化について詳細に述べるとともに,実験胃癌の経過からみた胃癌と潰瘍およびびらん性変化との関連について考えてみたい.なお,この胃癌のその後における発育進展状況ならびにその終末像を次報(Ⅲ)5)に示す関係上,本報の一部には全経過を含めた記載がなされている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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