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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻5号

1976年05月発行

胃と腸ノート

Ⅱc+Ⅱa型早期胃癌の臨床診断(5)

著者: 倉俣英夫1

所属機関: 1神奈川県立成人病センター

ページ範囲:P.620 - P.620

文献概要

 S. K. 57歳 男

 レ線所見:立位充盈像では特に異常と思われる所見はない,しかしFig. 1,2二重造影像では幽門前庭部後壁に明瞭な粘膜ひだ集中像を見る.集中点はほぼ一点で,ことに大彎側から集まるひだが幅広く肥大して見える.集中ひだ先端の蚕蝕様所見ははっきりしないが,中心の潰瘍をとりまいて周囲にⅡcの輪廓を思わせるごく浅いバリウムの溜りが読める.このⅡc様陥凹の小彎側から幽門側にかけて広い範囲で大小不整,結節様の隆起が集簇して見える.その一部の粘膜面からの立ち上りは明瞭であるが,胃壁の過伸展では不鮮明となる.比較的柔かい感じをうけるところもあるが,診断は広いⅡc+Ⅲ,進行型の癌を疑った.

 内視鏡所見:レ線像の如く胃角後壁に粘膜ひだ集中所見があり,中心部はビランを有している.その周辺に褪色のはっきりした大小不整の隆起がとりまいて,ことに大彎側から集まるひだが太く肥大し,やや突張ってみえる,前庭部には点状出血が散在している.内視鏡的にはまずリンパ腫,次には進行癌を疑った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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