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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻5号

1976年05月発行

文献概要

症例

血清蛋白漏失と過分泌過酸症を伴った胃粘膜の巨大皺襞症(メネトリエ病)

著者: 楢本純一1 熊田博子1 外山久太郎1 為近義夫1 岡部治弥1 石田秀夫2 野登隆2 高橋俊毅3 比企能樹3 名越和夫4

所属機関: 1北里大学医学部内科 2北里大学医学部内視鏡室 3北里大学医学部外科 4丹羽診療院

ページ範囲:P.627 - P.631

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 血清蛋白漏失と過分泌過酸症を伴った胃粘膜の巨大皺襞症を経験し,胃全摘出術により臨床像の改善を得たので報告し,メネトリエ病,肥厚性胃炎,肥厚性過分泌性胃症と本症例との関連について若干の考察を行なった.

症例

 患 者:132707 38歳 男 事務系会社員

 主 訴:胸やけと水様性下痢.

 現病歴:10数年前より,時々空腹時に胸やけを自覚していたが,食事や市販の胃散を内服することにより症状は軽快ないし消失していた.約2年前より,食後に胃部のもたれ感を覚えるようになった.この頃より,軟便傾向となり,月に2~3回程度水様下痢便をきたすようになったが,腹痛を伴うことはなかった.この間,体重は不変であった.従兄2人が胃癌で死亡したので,胃腸症状が気になり,精査を希望して北里大学病院外来を受診した.(初診1974年8月5日).上部消化管X線造影ならびに胃内視鏡検査で胃粘膜の巨大皺襞症が指摘され,一般検査で低蛋白血症がみとめられたので,精査と加療のため入院となった.(入院1974年10月7日).

 既往歴:立ちくらみ(小学生時より).副鼻腔炎手術(16歳時).虫垂炎手術(25歳時).腰椎分離症手術(31歳時).輸血歴(-).

 家族歴:姉が胃十二指腸潰瘍で外来治療中(巨大皺襞症はない).従兄2人が胃癌で死亡.

 入院時現症:体格中等度身長166cm.体重57kg.皮膚粘膜に貧血,黄疸なく,異常色素斑なし.表在リンパ節触知せず.甲状腺腫大なし.血圧100~66mmHg,脈拍52/分整.心音清.呼吸音肺胞性.腹部平坦,圧痛なく,肝脾腎ならびに腫瘤触知せず.腹水なし.浮腫なし.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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