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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻5号

1976年05月発行

文献概要

症例

直腸villous tumorの1例

著者: 田中啓二1 岡田安浩1 冨岡武1 奥村恂1 田中昭2 志村秀彦2 今井環3

所属機関: 1福岡大学医学部第1内科 2福岡大学医学部第1外科 3福岡大学医学部第1病理

ページ範囲:P.633 - P.639

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 大腸のvillous tumorは比較的まれな疾患で,通常みられる腺腫とはその組織発生,形態,生物学的態度などを異にしているため,近年,癌と良性腺腫との境界領域病変1)~6)と考えられるようになってきた.従って本腫瘍の臨床的取り扱いも,次第に意見の統一2)~4)7)~9)がみられるようになってきたといえる.しかし本腫瘍が一つのentityを確立したようにみえても,その概念は今一つあいまいで,まだ臨床的にも病理学的にも未解決の問題を含んだ疾患8)10)~12)と考えられる.

 著者らは61歳の女子で数回の粘血便を主訴として来院し,直腸に6cm大のvillous tumorのあった1例を経験した.本例はわが国の胃生検分類13)のGroup Ⅲ~Ⅳ,Jackman14)らの大腸ポリープ分類の中等度,ないし,高度異型を示す腺管より構成され,ほぼ同じ組織水準で腸壁固有筋層にまで浸潤していた.本例の病理学的問題点,および,臨床像について文献的考察を加え報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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