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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻5号

1976年05月発行

文献概要

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編集後記

著者: 常岡健二

所属機関:

ページ範囲:P.662 - P.662

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 潰瘍と癌との因果関係は今世紀のはじめから今日まで種々論ぜられてきたが,最近の趨勢としては,両者の関係を全く否定しえないまでも,恐らく無縁のものと考えるようになった.臨床家にとっては,潰瘍性病変について,癌であるか,ないかを正しく診断することが大切であり,たとえ初診時にできなくとも,なるべく早いつぎの機会に正しく診断することが要求される.現在の診断技術はこれを十分に可能としている.ただ注意すべきは悪性潰瘍サイクルの存在である,これは日本で生れた概念であり,Hauserその他の潰瘍癌説を痛撃したものであるが,陥凹型癌性病変を正しく診断する上に大切である.

 本特集には,村上教授の潰瘍癌の変遷,八尾・渡辺,原先生の臨床経過からみた潰瘍癌発生の可能性,白井・花之内・伊藤,大原先生の実験胃癌から潰瘍癌発生の事実等が集められている.潰瘍癌に代る概念として瘢痕癌がどこまで立場を維持できるか,また臨床的には悪性サイクルを証明できれば潰瘍の癌化といえるものは殆んど零に近いという事実がある反面,実験的には強力な発癌物質を用いれば潰瘍癌作成が可能である等,基礎的問題としては未だ研究すべき点が多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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