icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻6号

1976年06月発行

文献概要

今月の主題 食道・噴門境界部の病変 主題

食道潰瘍

著者: 遠藤光夫1 羽生富士夫1 小林誠一郎1 吉田操1 秋本伸1 竹本忠良2 渡辺伸一郎2

所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター外科 2東京女子医科大学消化器病センター内科

ページ範囲:P.705 - P.713

文献購入ページに移動
 食道潰瘍は食道疾患のなかでも比較的稀なもので,X線上,下部食道に食道癌類似の狭窄,壁不整を示すものとして,従来癌との鑑別疾患として注意されてきた.しかし,最近になり一般の生活様式の変遷のためか,日常の外来診療でも患者数は増加しており,いろいろと消化器症状を有し,内視鏡検査の進歩で診断がそれ程困難でなくなってきている現在,鑑別疾患というだけでなく一つの疾患として,診断,治療の面であらためて注目されるようになってきた.

頻度

 食道潰瘍の頻度は,はじめ剖検例を中心に報告され,Berthold(1883)の9,633例中0.16%,Gruber(1911)の4,208例中0.6%とされ,臨床例ではJackson(1929)1)が食道鏡検査例4,000例中88例2.2%と述べている.われわれも,過去10年間の食道鏡検査回数9,726回で2.3%とJacksonとほぼ同じような頻度である.しかし,10年前の千葉大学第2外科での統計では,食道鏡検査回数5,005回中0.8%と少なく2),最近になり診断技術面の進歩もあるが,食生活の変化で,肥満,特に老人の肥満者の多いことなど,疾患の実数も確かにふえてきていると思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?