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今月の主題 pm胃癌 主題
固有筋層に浸潤した胃癌(pm癌)のX線診断に関する2,3の考察(第2報)―とくにⅡc型類似pm癌について
著者: 丸山雅一1 杉山憲義1 馬場保昌1 二宮健1 舟田彰1 佐々木喬敏1 竹腰隆男1 高木国夫2 中村恭一3 熊倉賢二4
所属機関: 1癌研究会付属病院内科 2癌研究会付属病院外科 3筑波大学病理 4慶応大学医学部放射線診断部
ページ範囲:P.855 - P.868
文献購入ページに移動固有筋層に浸潤した胃癌(以下pm癌)の診断が臨床的に重要であるのは,この癌の術後の5年生存率(以下5生率)が比較的良好で,進行癌(ss,s)と早期癌(m,sm)の中間に位置するためであろうと思われる.X線診断の立場からすると,pm癌は,①早期癌診断の延長線上にあるものと(早期癌類似pm癌),②従来のBorrmann型分類で診断するもの,の2群に分けられる.②の場合,われわれはX線診断の最初の段階からpm癌とすることはほとんどない.癌の浸潤をもっと深く見積っている.この揚合には予後の問題はともかく所見の規模が大きく多彩である割にはpm癌で運がよかった,というふうにX線診断をふりかえってみる.早期癌との鑑別が必要ないという点で気が楽である.①はちょっと難題である.早期癌類似pm癌の診断には,あくまでも早期癌(m,sm)としての所見の域を出ないものと,早期癌診断の発想に固有筋層以下の癌浸潤の量的要素を加味したものの2つがあると仮定しよう.前者の場合,粘膜内癌に類似のX線所見を呈するもの(m癌)をその代表とすると,これは癌の構築を大まかに2次元的なものとして把らえることができる.ところが,後者の場合にはこの2次元的構築に加えて,癌の深部への進展を量的に把握する方法をX線所見上に求めなければならない.いい方を変えれば,癌の深部への進展の最先端を「深達度」として把らえるのではなく,癌およびその近傍をふくめた病変の浸潤様式(invasion pattern)21)として把えることが必要である.
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