文献詳細
今月の主題 潰瘍性大腸炎―最近の趨勢
主題
文献概要
いわゆる潰瘍性大腸炎の病理学的位置づけに関しては,非特異性潰瘍性大腸炎(idiopathic ulcerative colitis)という名の示すように,原因や病態成立の機序に関する体系的な解明のないままに今日に至っており,したがって,病理学的にも原因不明の大腸粘膜の慢性ビマン性炎症ならびに浅い潰瘍形成を組織表現とする1つのsyndromeとして理解せざるを得ない.
1969年,本誌第4巻12号において潰瘍性大腸炎の特集が組まれ,その病理については,若狭ら1)の詳細な論文をみるが,今回その後の進歩として本篇を記すにあたり,病理形態学に限るならば,潰瘍性大腸炎の概念に新たに加筆するべき問題はさして見当たらない.しかしながら,近時診断学の進歩とともに,本症をはじめCrohn病,大腸結核症など,古くから扱われている大腸疾患例を臨床病理学的に診断する機会がきわめて多くなり,それにつれてこれら疾患の定型的な症例は別として,診断の上で鑑別に非常に困惑を感ずる場合がある.数年来,近畿一円の同好の士が集まり,大阪大腸疾患研究会が持たれているが,その際著者も病理診断ならびにその解説の立場で,ときに整理に躊躇を感じる症例を経験する.今回,これらの症例をもとに,潰瘍性大腸炎とその類縁疾患につき,問題点を提起したい.
1969年,本誌第4巻12号において潰瘍性大腸炎の特集が組まれ,その病理については,若狭ら1)の詳細な論文をみるが,今回その後の進歩として本篇を記すにあたり,病理形態学に限るならば,潰瘍性大腸炎の概念に新たに加筆するべき問題はさして見当たらない.しかしながら,近時診断学の進歩とともに,本症をはじめCrohn病,大腸結核症など,古くから扱われている大腸疾患例を臨床病理学的に診断する機会がきわめて多くなり,それにつれてこれら疾患の定型的な症例は別として,診断の上で鑑別に非常に困惑を感ずる場合がある.数年来,近畿一円の同好の士が集まり,大阪大腸疾患研究会が持たれているが,その際著者も病理診断ならびにその解説の立場で,ときに整理に躊躇を感じる症例を経験する.今回,これらの症例をもとに,潰瘍性大腸炎とその類縁疾患につき,問題点を提起したい.
掲載誌情報