敗血症の原発巣となった巨大食道潰瘍の1治験例
著者:
多羅尾和郎
,
戸田有亮
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杉政龍雄
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船山道敏
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遠藤修
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松崎誠
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中村信彦
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巣山隆
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福島孝吉
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城島標雄
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小泉博義
,
五島呉迪
,
和田達雄
,
須田嵩
,
桔梗辰三
ページ範囲:P.1123 - P.1128
症 例
患 者:川○季○ 63歳 男
主 訴:発熱,胸骨下痛および心窩部痛
家族歴:特記すべきものなし
既往歴:20歳,頭部外傷,42歳,胃潰瘍
現病歴:1973年12月頃より,心窩部痛,悪心が出現し,さらに38~39℃の発熱も出現したため,某医院を受診し,通院加療を受けたが軽快せず,ために1974年5月初旬,発熱を主訴として当科を受診し,5月8日敗血症の疑いにて入院した(第1回目内科入院).入院後発熱は抗生剤(Ampicillinum,AB-PC1日2g)投与により軽快し,白血球増多(13,200),CRP強陽性等の炎症所見も改善したが,食道・胃レ線検査にて,Fig.1のごとく食道下端に巨大な潰瘍を認め,食道ファイバースコープにても巨大なきたない灰白色苔におおわれた易出血性潰瘍を認めたため,潰瘍型食道癌の疑いにて2回にわたり生検を行なったが,悪性腫瘍細胞は認められなかった.しかし,レ線および内視鏡的に食道の悪性病変が強く疑われたため,6月6日当院第1外科に転科した(第1回目外科転科),転科後,外科にてさらに2回の食道生検が行なわれたが,Candida様のFungusが認められたのみでやはり悪性細胞は認められなかったため,7月25日再度内科に転科された(第2回目内科入院).外科入院時に抗生剤(AB-PC)を一時中止したところ,再び39℃台の発熱がみられたので,当科にて再びAB-PCを投与したところ,8月初旬より全く解熱し8月10日に退院した.退院後経過は概ね順調で抗生剤も中止し食道潰瘍もFig.2のごとく一時治癒傾向が認められたが,11月になり再び胸骨下痛,胸やけ,悪心,発熱等が出現し,1975年1月再度当科に入院した(第3回目内科入院).