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文献詳細

雑誌文献

胃と腸11巻9号

1976年09月発行

文献概要

今月の主題 症例・研究特集 研究

大腸Metaplastic polypの本態

著者: 小塚貞雄1

所属機関: 1名古屋大学医学部病理学第2講座

ページ範囲:P.1217 - P.1223

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 大腸癌の発生に関する研究において,われわれは腺上皮の偽重層度すなわち核重層度を指標とするpolypの分類を提案し7),polypを構成する腺管上皮の分析から,いわゆる過形成腺管が腺腫へ進展し大腸癌になる可能性を明らかにし7),患者の平均年齢の増加からもこれを裏づけた9).さらにこの分類基準はその後の研究から病巣の平均直径と平行して増加すること8)および核の平均直径の増加とも一致することが明らかになった.大腸polypにおける腺腫の定義は必ずしも明確でなく未だかつて過形成と腺腫との境界を鮮明に区分しえたものはいない今日,核の重層度を指標にした客観的かつ具体的な分類基準は大腸の多発polyp発生の同時性10)や若年性polypの腫瘍としての位置づけ8)に有力な手段となりえた.しかしながら核重層度を指標にして各種のpolypを解析していくと1つの大きな疑問に遭遇した.それはMorson14)によりmetaplastic polypと名づけられたもので,Morson14),Arthur1)2)およびLaneら11)12)により,鋸歯状腺管を特徴とするpolypで腺腫へ移行することがない良性の病変であると主張されている点である.

 Metaplastic polypを最初に一群の病変として扱ったのはWattenberg17)で,彼はSchmieden & Westheus16)やLockhart-Mummery & Dukes13)が記載している癌付近の腸粘膜によくみられる局部的な過形成と同じものと考えて,focal mucosal hyperplasiaとして20例の病変の組織学的特徴に腺管の縦断面が鋸歯状になっていると記載したのに始まる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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