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文献詳細

雑誌文献

胃と腸12巻1号

1977年01月発行

文献概要

今月の主題 胃癌―5年以後の再発 主題

胃癌晩期再発例の検討―外科臨床の立場から

著者: 岩永剛1 田中元1 小山博記1 古河洋1

所属機関: 1大阪府立成人病センター外科

ページ範囲:P.21 - P.31

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 胃癌にかかればほとんどの者が死ぬといわれた時代には,手術をして3年も生存できれば永久治癒と考えられた.その後手術後5年生存をもって完全治癒とされていたが,最近では10年生存率でもってその成績が比較検討されつつある.というのも手術後長期間経過してから再発してくる症例がふえてきたからである.われわれの施設での胃癌根治手術924例について術後15年間の累積生存率をみると,Fig.1のように5年生存率は67.4%,10年は57.7%,15年は45.7%となり,生存曲線は術後4年まで急激に下降し,それ以後も徐々に下降している.胃癌手術患者の平均年齢に近い55歳の一般人の男性と女性の1965年における生存曲線と比較してみると,術後早期に生存曲線が分離し,その後はほぼ同様の下降度を示している.このように胃癌術後5年も経過すると,それ以後の年間死亡率は一般人との間に差がなくなるが,実際にはなお胃癌再発による死亡者が存在する.われわれの施設における胃癌術後5年以後の再発頻度は,根治手術後10年以上経過した242例中の11例,4.5%であった.

 このように最近増加しつつある晩期再発の症例がどのような患者で,またどのような再発を起こすのかを検討し,これを防ぐために今後どのようにすればよいかを考察してみる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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