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文献詳細

雑誌文献

胃と腸12巻10号

1977年10月発行

今月の主題 症例・研究特集

症例

約3年7カ月の経過にて隆起(Ⅰ+Ⅱb)型早期胃癌より陥凹(Ⅱc+Ⅲ)型早期胃癌へ進展したと思われる1例

著者: 村上隼夫1 松下宣雄1 岩崎貞三1 水野恵文2 野木村昭平2

所属機関: 1静岡市立静岡病院内科 2静岡市立静岡病院外科

ページ範囲:P.1321 - P.1326

文献概要

 胃癌の組織発生とその進展を検討する方法の1つとして,retrospective follow up studyが重要視され1),これに関しての多くの知見が得られている.従来の報告によれば,陥凹型早期胃癌はⅡbより発育する2)3)か,ないしは悪性サイクルを示すものがほとんどであり4)~7),隆起型胃癌より進展した症例の報告は見当らない.しかしわれわれは,約3年7カ月の経過観察にて胃角前壁のⅠ+Ⅱb型早期胃癌がⅡc+Ⅲ型早期胃癌となったと思われる興味ある1例を経験したので報告する.

症例

 患 者:72歳 男

 主 訴:心窩部痛,嘔気および少量の吐血

 家族歴:特記すべきものなし

 既往歴:18歳腸チフス,64歳肝硬変症

 現病歴:1972年7月14日より約2カ月間,肝硬変症の診断の下に本院内科へ入院,その際,胃透視にて角小彎の隆起陸病変を指摘されたが,そのまま放置した.退院後たいした自覚症状なく過ごすも,1976年1月21日心窩部痛,嘔気とともに少量の吐血をきたし,同年1月29日本院内科を受診,再び胃透視にて異常を指摘され,精査加療のため,同年3月1日入院した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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