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今月の主題 S状結腸癌 主題
S状結腸癌の外科治療と成績
著者: 北條慶一12
所属機関: 1国立がんセンター外科 2東京大学医学部第1外科
ページ範囲:P.205 - P.213
文献購入ページに移動 大腸癌発生部位をみると直腸が過半を占めるが,次いでS状結腸が多く,上行結腸,回盲部とこれに次ぐ.他方,予後は一般に大腸の下方に行くに従って,特に直腸下部になると不良といわれているが,S状結腸癌は大腸癌の中でも比較的良好である.大腸の上方ほど比較的大きくなるまで“silent”であることから発見が遅れ,したがって治療開始時には進行癌が多く,これに対しS状結腸は内腔が比較的狭く,便通異常や狭窄が来しやすく,また血便が認められやすいなどで発見されやすい.また腸間膜が長くて移動性に富み,その手術的治療も直腸癌と比べて比較的容易で初心外科医の手術対象とされる.しかしあまり移動性に富むために,離れた臓器(膀胱,子宮など)に接触性転移を起こし予後を悪くする不利な面もないではない.通常,S状結腸癌は結腸癌あるいは左側結腸癌の中に包括されて論じられてきたが1),ここにS状結腸癌(Rsの癌は直腸癌として除外)を独立させてわれわれの症例を検討してその治療成績と外科治療に関する諸問題を述べ責を果たしたいと思う.
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