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文献詳細

雑誌文献

胃と腸12巻3号

1977年03月発行

文献概要

研究

左胃動脈造影による食道静脈瘤の診断

著者: 有山襄1 塚田隆憲1 池延東男1 黒沢彬1 河合信太郎1 白田一誠1 山本勇1 栗原稔1 吉川保雄1 白壁彦夫1

所属機関: 1順天堂大学消化器内科

ページ範囲:P.351 - P.358

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 食道静脈瘤のX線診断にはいろいろな方法が用いられているが,そのなかでもっとも有効な検査法の1つは左胃動脈造影である1)2).門脈高圧症の患者で食道静脈瘤が疑われる場合に腹腔動脈と上腸間膜動脈のarterial portographyを行なっても門脈血流の方向によって食道静脈瘤が造影されない例が多く,経脾門脈造影でも門脈血流が脾に向かっているときには食道静脈瘤を十分に造影することは困難である.

 左胃動脈造影を行なって血管拡張剤と大量の造影剤を注入すれば造影剤は高濃度に短胃静脈と左胃静脈に移行する.これらの静脈は食道静脈瘤に直接流入するので門脈血流の方向に影響されずに食道静脈瘤が造影される.Fig.1は肝硬変の症例の腹腔動脈造影の静脈相で脾腫があり,脾静脈と門脈は明瞭に造影されているが食道静脈瘤の存在は診断できない.Fig.2は同一症例の左胃動脈造影の静脈相で,腹腔動脈造影の静脈相ではまったく認められなかった高度の静脈瘤が明瞭に造影され,静脈瘤の太さや範囲まで診断できる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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