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文献詳細

雑誌文献

胃と腸12巻7号

1977年07月発行

文献概要

今月の主題 残胃病変 主題

内視鏡による残胃病変の診断

著者: 竹添和英1 鵜川四郎2

所属機関: 1東京都職員共済組合青山病院外科 2林病院外科

ページ範囲:P.875 - P.882

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 内視鏡は,今日では胃疾患診断にとって欠くべからざるものとなり,非切除胃においてはルーチンに用いられているにもかかわらず,残胃の検査法としては,まだ必ずしも充分に活用されているとはいえない状態である.1つには残胃においては,癌,潰瘍等の臨床的に重要な疾患の頻度が少ないため,残胃の検査自体が軽んぜられてきたことにもよるが,一方残胃はその形態が様々であり,それに従って内視鏡検査の難易度が異り,とくに残胃が小さい場合には検査が難しいためであったとも考えられる.しかしながら形態的な多様性,とくに手術に関係した変形と,病変による変形との鑑別は,X線検査のみでは困難な場合が多いのであるから,内視鏡検査を併せて行なうことは一層重要なはずである.さらに非切除胃と同様,胃炎や微小病変の診断には内視鏡検査および生検が不可欠であり,また逆流性食道炎,吻合部とその腸側の検査,さらにBillrothⅡ法におけるERCPなど胃切後に特有な状態に対する内視鏡の役割は大きい.

 消化管内視鏡検査の器械に要求される機能として,①盲点・観察難点のないこと,②解像力がよく,記録性にすぐれていること,③送気,送水(レンズ面の洗滌,吸引洗瀞(内腔の)ができること,④生検・細胞診ができること,⑤被検者に与える苦痛が少なく,安全であること,⑥操作が簡単で耐久力のあることなどがあげられよう.しかし一器種ではこれら条件を満足するものはまだ開発されていない.とくに後述するような解剖学的に複雑な切除残胃を中心とする観察を,1つの器械で充分な目的を達することは現状では不可能といえる.現実には種々の器種を用い,検査法に工夫をこらしながら実施されているわけであるが,われわれは,最近新しく開発された細径ファイバースコープGIF-P2(オリンパス製)が,残胃の観察にも好適であるという結果を得たので,それを中心に報告したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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