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文献詳細

雑誌文献

胃と腸12巻8号

1977年08月発行

文献概要

今月の主題 胃癌の浸潤範囲・深達度の判定(1) 主題

色素内視鏡検査による胃癌浸潤範囲の診断

著者: 井田和徳1 窪田吉克1 奥田順一1 宮永実1 呉尚皓1 西脇和善1 群大裕2 橋本睦弘2 川井啓市3

所属機関: 1岐阜歯科大学第2内科 2京都府立医科大学第3内科 3京都府立医科大学公衆衛生

ページ範囲:P.1043 - P.1054

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 術前における胃癌浸潤範囲の診断は,胃切除線の決定,手術方法の選択などに際して不可欠であり,その診断の精度は臨床に直結する重要な問題である.癌・非癌といった質的診断は病巣内のもっとも著しい所見を基礎にしてなされるため,X線,内視鏡検査とも特殊な例を除いて比較的容易になされるようになった.しかし,癌巣辺縁部は辺縁隆起を伴うような型を除いて陥凹型癌では,原則として周辺に至るほど表面所見は軽微になる傾向にあり,その浸潤辺縁部の診断には,Ⅱb型早期胃癌の診断概念を導入しなければならない例が少なくなく1),現状では多くの困難を伴う.

 われわれは2),Ⅱb症例の検討からX線的,内視鏡的に本病変を診断するためのもっとも手近な方法の1つは胃小区像を描出することであり,その異常から本病変の存在と範囲を推定できるであろうと考え,X線および内視鏡検査において胃小区描出のために種々の努力を重ねてきた.内視鏡ではすでにいくどか報告3)~8)しているように,色素液を用いた「コントラスト法」(従来の色素撒布法に相当する,第19回内視鏡学会総会に併催された色素内視鏡研究会において改名された)により,また最近では胃X線検査に粘液溶解法を応用する9)~11)ことにより,両検査ともほぼ満足すべきところまで胃小区の描出が可能になった.色素内視鏡による癌の浸潤範囲と深達度診断に関してはすでに報告しているが12)~15),今回はとくに陥凹型胃癌の浸潤境界の診断を主として色素内視鏡(コントラスト法,染色法)の立場からとりあげ,通常内視鏡検査との対比の上からその有用性について述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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