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文献詳細

雑誌文献

胃と腸12巻8号

1977年08月発行

研究

Ⅱb様早期胃癌のX線所見と病理組織所見との比較検討―とくに噴門側浸潤範囲について

著者: 馬場保昌1 成井貴1 二宮健1 舟田彰1 佐々木喬敏1 竹腰隆男1 杉山憲義1 丸山雅一1 加藤洋2 中村恭一23 熊倉賢二4

所属機関: 1癌研究会附属病院内科 2癌研究会附属病院研究所病理部 3筑波大学基礎医学系病理 4慶応大学医学部放射線診断部

ページ範囲:P.1087 - P.1103

文献概要

 胃癌のX線・内視鏡診断技術の著しい進歩によって,これまでに数多くの早期胃癌が発見され,手術切除されてきている.それとともに,いろいろな型の早期胃癌例にも遭遇するようになった.その1つに,粘膜面における癌の拡がりが明瞭でないものがある.このような胃癌の手術にあたっては,その噴門側境界がよく問題9)28)になる.いうまでもなく,粘膜内での癌浸潤の境界がはっきりしない病変(以下Ⅱb様病変と表現)に対しては,その噴門側境界を術前に可能な限り明らかにしておくことが必要である.そのためには,X線診断に際して病変の噴門側境界部がどのような所見として描写されているか,また,どのような所見に注意して境界部の診断を行なえばよいか,という問題の解明が重要である.

 著者らは,先に陥凹性早期胃癌のX線所見と癌の組織型との関係を検討し,癌の組織型によってX線所見が異なり,両者の問には密接な関係が存在することを報告した50)51)(Fig. 1,2を参照).癌の組織型の差によるX線所見の違いが,Ⅱb様病変部についても同じように認められるとすれば,X線診断による癌浸潤範囲の決定に有力な手がかりとなる.なぜならば,生検で癌組織型を知ることによって,X線フィルム読影の観点をかえることができるからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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