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文献詳細

雑誌文献

胃と腸12巻9号

1977年09月発行

症例

乳頭状巨大食道腫瘤の1例

著者: 浅野伍朗1 山田展敬1 石神邦孝1 前田宏2 平川恒夫2 田口武人2

所属機関: 1日本医科大学病理学教室 2日本医科大学第3内科教室

ページ範囲:P.1251 - P.1255

文献概要

 食道にはポリープ状形態を示す腫瘍として,悪性黒色腫,癌肉腫,偽肉腫などが発生する.なかでも癌肉腫と偽肉腫は形態的にも特異な組織像を示し,臨床病理学的にもその鑑別は必ずしも容易でなく興味ある腫瘍である.ここにいわゆる癌肉腫と考えられた食道腫瘤を経験したので考察を加え報告する.

症例

 患 者:69歳 男性 無職

 既往歴:梅毒(44歳),肺結核(51歳),胃潰瘍(55歳)

 現病歴 1970年8月,耳痛,喉頭痛を訴えて治療を受けたことがある.その翌年,背部に痛みを感じるようになり,さらに嚥下障害が加わり,6月には全く食事の摂取が不可能となる.その上,吐血が加わり,本院外来を訪れ,内視鏡検査で食道にポリープ状腫瘤が発見され(Fig. 1),組織診の結果では扁平上皮癌と診断され日本医大常岡内科に入院した,入院時諸検査では,X線検査で食道中央部に乳頭状の巨大な腫瘤を認め(Fig. 2),その他の検査結果ではTable 1に示すように血液一般検査で,中等度から高度の貧血,糞便の潜血反応陽性,Wa-R陽性(ガラス板法,TPHA法)の他著変なく,入院後,腫瘤摘出不能ということで胃瘻造設術を受けたが3ヵ月後に肺炎を併発して死亡した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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