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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻1号

1978年01月発行

今月の主題 胃癌の発育経過

主題症例 A.胃癌の発育経過(形態の変化を中心として) 1)隆起型胃癌の発育経過

Case 1 Ⅰ型早期胃癌の発育経過を示す症例

著者: 奥田茂1 今西清1

所属機関: 1大阪府立成人病センター消化器内視鏡科

ページ範囲:P.10 - P.11

文献概要

 患 者:谷○忠○ 59歳 男

 新鮮切除胃(Fig. 1)の肉眼所見では,前庭部小彎に3.3×1.2×2.0cmの二峰性の隆起性病変を認める.組織標本のルーペ像(Fig. 2)では腫瘤全体が癌腫で,周囲粘膜とは化生性胃炎で鮮明に境界されている.粘膜筋板の立ち上りは「箱型」よりも「噴水型」に近い.癌組織型は乳頭状腺癌,深達度mでリンパ節転移なし.

 Fig. 3の術前胃カメラ像では,前庭部小彎に切除胃そのままの所見が見られる.Ⅰ型早期胃癌である.Fig. 4(術前6カ月の胃カメラ)では,病巣は表面平滑でいびつな形のⅡa様隆起で,手術時の所見とは異なっている.この時点で強く癌の疑いを持ち,一般洗浄細胞診を連続3回施行するも陰性であった.Fig. 5は術前2年9カ月の集検胃カメラ像で,後になって腫瘤形成を見る拡がりにほぼ一致して限局性のハレーションが見られ,軽度の凹凸不整像が認められる.本例は,組織所見で隆起部にATPやhyperplastic polypを認めず隆起全体が癌であったこと,および短期間に著明な形態の変化が見られ全経過が3年にも満たぬことから,初回検査時既に,腫瘤の大きさに相当する類似Ⅱbの粘膜内癌があったものと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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