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文献概要
今月の主題 胃癌の発育経過 主題症例 A.胃癌の発育経過(形態の変化を中心として) 1)隆起型胃癌の発育経過
Case 4 形態変化がなく生検陽転(癌化)した胃ポリープの例
著者: 小黒八七郎1
所属機関: 1国立がんセンター
ページ範囲:P.16 - P.17
文献購入ページに移動 患 者:74歳 男 会社員
1965年より労作性狭心発作があり,精査のため1968年10月来診し,冠不全と診断された.その際行った胃X線検査で幽門前庭部前壁に有茎性ポリープを発見され,X線写真上では大きさは約20mmで表面は顆粒状で可動性に富んでいた.引き続いて行った胃内視鏡検査ではFig. 1のごとく,頭頂部に白苔と小出血がみられた.また,生検は頭頂部より2コ,基部より2コ行い,Fig. 2のごとく,腺窩上皮の過形成と間質の細胞浸潤がみられ,再生性ポリープと診断され,癌は認められなかった.1969年10月の内視鏡像はFig. 3のごとく,頭頂部は白苔におおわれ大きさと形には変化がなく,この時の生検では頭部より4コ,茎部より1コ行い,前回と同様の組織像で悪性像は認められなかった.さらに洗滌細胞診はClass Ⅰであった.1970,1971年は高血圧と狭心発作のため内視鏡検査は行わず,1972年4月に行った内視鏡検査では胃ポリープは発赤を伴っていた他には著変がなかった.1974年8月の内視鏡検査では形態学にはFig. 4のごとく著変がなかったが,頭頂部よりの生検は4コとも乳頭状腺管腺癌であった(Fig. 5).高齢,高血圧症および心疾患のため,入院して内視鏡的高周波胃ポリペクトミーを1974年9月に行った.その6年間,胃X線検査6回,胃内視鏡検査4回,胃生検2回(すべて陰性),洗滌細胞診(Class Ⅰ)1回が行われた.
1965年より労作性狭心発作があり,精査のため1968年10月来診し,冠不全と診断された.その際行った胃X線検査で幽門前庭部前壁に有茎性ポリープを発見され,X線写真上では大きさは約20mmで表面は顆粒状で可動性に富んでいた.引き続いて行った胃内視鏡検査ではFig. 1のごとく,頭頂部に白苔と小出血がみられた.また,生検は頭頂部より2コ,基部より2コ行い,Fig. 2のごとく,腺窩上皮の過形成と間質の細胞浸潤がみられ,再生性ポリープと診断され,癌は認められなかった.1969年10月の内視鏡像はFig. 3のごとく,頭頂部は白苔におおわれ大きさと形には変化がなく,この時の生検では頭部より4コ,茎部より1コ行い,前回と同様の組織像で悪性像は認められなかった.さらに洗滌細胞診はClass Ⅰであった.1970,1971年は高血圧と狭心発作のため内視鏡検査は行わず,1972年4月に行った内視鏡検査では胃ポリープは発赤を伴っていた他には著変がなかった.1974年8月の内視鏡検査では形態学にはFig. 4のごとく著変がなかったが,頭頂部よりの生検は4コとも乳頭状腺管腺癌であった(Fig. 5).高齢,高血圧症および心疾患のため,入院して内視鏡的高周波胃ポリペクトミーを1974年9月に行った.その6年間,胃X線検査6回,胃内視鏡検査4回,胃生検2回(すべて陰性),洗滌細胞診(Class Ⅰ)1回が行われた.
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