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今月の主題 胃癌の発育経過 主題症例 A.胃癌の発育経過(形態の変化を中心として) 2)陥凹型胃癌の発育経過
Case 17 Ⅱcの上に潰瘍が発生し,結果的にⅢ型早期癌として切除された,悪性サイクルの経過の一部を観察しえた症例
著者: 村松省吾1 塩原正夫2 中沢三郎3 肥田野等3 川口新平3 可知常昭3 林繁和3
所属機関: 1小牧市民病院放射線科 2小牧市民病院消化器科 3名古屋大学第2内科
ページ範囲:P.42 - P.43
文献購入ページに移動主 訴:心窩部膨満感,げっぷ,嘔吐
現病歴:1973年3月,上記の主訴により小牧市民病院に入院.初回検査(1973. 3. 8)にて,胃体下部小彎寄り後壁にニッシェが認められた(Fig. 1).2カ月半後(1973. 5. 31)には,この潰瘍は粘膜ひだの集中を残して治癒した.しかし,その小彎肛側寄りに,粘膜像の乱れが認められた(Fig. 2).3年後(1976. 5. 18)初回の潰瘍瘢痕のほか,先に粘膜像の乱れが認められた部位に,粘膜ひだの集中と中断が見られ,中心部には変色があって,粗ぞうな粘膜像を呈していた(Fig. 3,4).したがってⅡcと診断し,その部位からの生検でも癌陽性と判定された.しかし患者は手術を承諾せず,それ以後来院しなくなった.
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