文献詳細
資料
(2)胃癌の大きさと時間との関係―いわゆる胃癌の成長曲線
著者: 中村恭一1 芦沢真六2 高田洋3 小黒八七郎4 福本四郎5 星島説夫5 田中弘道5 山本貞寿5 三好洋二5 古城治彦5 阿部政道6 斉藤利彦7 久道茂8 白根昭男8 竹添和英9 高木国夫10 加藤洋11 郡大裕12 竹田彬一12 酉家進12 奥田茂13 今西清13
所属機関: 1筑波大学基礎医学系病理 2東京医科大学内科 3早期胃癌検診協会中央診療所 4国立がんセンター 5鳥取大学第2内科 6日本大学有賀内科 7東京医科大学第4内科 8宮城県対がん協会検診センター 9青山病院外科 10癌研外科 11癌研病理 12京都府立医科大学第3内科 13大阪府立成人病センター
ページ範囲:P.89 - P.93
文献概要
1.胃癌の成長曲線を求める試み
一般化を試みるにあたって,まず第一に問題となることは,癌の大きさと時間との間にどのような関数を採用すべきかということです.癌の大きさと時間の関係を,癌細胞分裂という細胞水準から出発して考えますと,その関係は指数関数ということになります(2n-1).確かに,癌が大きくなるのは癌細胞分裂に原因するものです.しかしながら,人癌発生が細胞1コからはじまるのか,あるいは数コの細胞からはじまるのかは,未解決の問題です.また,癌が大きくなって行く過程には癌細胞の壊死,そして癌塊のびらん化,潰瘍化による癌の部分的脱落もあります.さらには,われわれは日常,癌の大きさを肉眼水準での面積あるいは体積で表現しています.したがって,癌の大きさと時間の関係を求める場合には,思考の出発点を細胞分裂という細胞水準におく指数関数を考慮する必要もないと思われます.思考の出発点を,肉眼水準での癌の大きさに置くのがより実際的であると思います.こうすれば,「正確とは,いたずらに尺度を細かくすることではなく目的とするものに基準をそろえることである」ということをも満足することになります.
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