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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻1号

1978年01月発行

研究

新しい酵素化学的アプローチによる胃粘膜腸上皮化生の特徴と胃癌との相互関係

著者: 中原國廣1 友田博次1 林逸郎1 古澤元之助1 安部宗顕1 大町彰二郎1 良永拓国1 瀬尾洋介1 嶺博之1

所属機関: 1国立病院九州がんセンター消化器部

ページ範囲:P.103 - P.112

文献概要

 胃粘膜腸上皮化生は,胃,十二指腸の各種疾患との関連において,とりわけ分化型腺癌発生の背景的因子としての可能性に関し興味がもたれており,また,実験動物胃癌の随伴病変として観察1)2)されるなど,胃癌との相互関係は重要視されている.しかし,両者の関係を論ずるには,胃癌はもちろん,とくに腸上皮化生の実態を十分に把握することが前提条件でなければならない.1883年,Kupfferが化生の存在を最初に報告3)して以来,今日まで腸上皮化生の実態の把握は,なお十分とは思えない.その原因の1つとして,化生の複雑な分布や酵素パターンが考えられるが,このような腸上皮化生について十分に理解するためには,従来のように病理形態学的研究方法だけにたよるのでは,一定の限界があるのは当然といえよう.そのために最近では,腸上皮化生の分布状態やその程度を正確に観察するために,酵素組織化学的研究方法が導入されてきた4)~7).化生の指標酵素の組織化学的呈色反応を利用して,化生の存在を肉眼的に観察する方法である.最近,著者はLeucine aminopeptidase(aminopeptidase(cytosol),EC3.4.11.1.)を指標としたいわゆるLAP染色法8)およびAlkaline phosphatase(EC3.1.3.1.)を指標とするALP染色法との重染色法を考案し報告した9)10).この新しいアプローチによって観察した胃粘膜腸上皮化生(以下化生と略)の特徴と癌病巣との相互関係を検討したので,若干の考察を加えて報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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