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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻11号

1978年11月発行

文献概要

研究

噴門部のリンパ流と癌の転移―Lymphographyによる検討

著者: 丸山圭一1 三輪潔1 河村譲2 吉田茂昭2 小黒八七郎2

所属機関: 1国立がんセンター外科 2国立がんセンター内科

ページ範囲:P.1535 - P.1542

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 胃のリンパ流の研究は生体または胎児死体に色素や墨汁を注射し,その移動を観察して行われた1).一方,甲状腺実質内に油性造影剤を注射すると頸部リンパ節が造影されることが知られている2).われわれはこれにヒントを得て,3年程前内視鏡的に胃粘膜下層に造影剤を注射してみたところ,局所リンパ節が写し出されることを発見した.今回,この方法(Endoscopic Lymphadenography of Stomach)を用いて,噴門,胃体上部から左右噴門,脾門,膵上縁,左胃動脈などへのリンパ流を検討したので3),造影手技,色素によるリンパ流,胃癌の転移率などの成績4)とともに報告する.

造影剤5)

 ヨードをケシ油に溶かした油性の造影剤「リピオドール」を用いた.これは単独では血漿中で大きな油滴となり,リンパ管に流れていかないため,多価アルコール脂肪酸エステルの非イオン性表面活性剤であるTween20,40,60,80を種々の濃度で混和し,より小さな油滴となる条件を求めて実験した.その結果,10mlのリピオドール入りアンプルに,オートクレブ滅菌したTween80を1.0ml(10%になる)加え,攪拌器で5分以上混和したものが成績がよかったので,この配合で臨床実験に用いた.なお,造影剤による組織反応や副作用は現在まで経験していない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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