icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻11号

1978年11月発行

文献概要

症例

診断困難な形態を示したスキルスの1例

著者: 酒井正彦1 三宅健夫1 山本泰猛1 有吉浄治1 洲崎剛1 大石雅巳1 上田俊二1 柏原貞夫2

所属機関: 1天理よろづ相談所病院消化器内科 2天理よろづ相談所病院腹部外科

ページ範囲:P.1565 - P.1570

文献購入ページに移動
 わが国における胃病変の診断は,X線,内視鏡の普及とともに発展し,その質的診断も生検,拡大観察,実体顕微鏡観察,色素撒布などの補助手段の開発と相まって著しく進歩した.この経験の集積を通常のX線,内視鏡の判読の向上に役立てねばならない.今回われわれは臨床経過,検査成績,X線,内視鏡にて質的診断が困難な形態を示した症例を経験したので,その問題点について考察を加えて報告する.

症 例

 患 者:72歳 男性 会社役員

 家族歴:特記すべきものなし

 既往歴:62歳,急性肝炎の診断にて自宅療養し治癒.66歳,糖尿病を指摘され,現在食餌療法のみで可とされている.

 現病歴:約2年前より飲水時の前胸部閉塞感を自覚していたが,症状増悪しないままに放置していた.1977年6月,全身に皮疹を来たし,近医受診,同じ頃,心窩部鈍痛も自覚していたために,消化管透視を受け,慢性湿疹,胃潰瘍の診断を受け,通院開始した.2カ月後再び消化管透視を受け,Borrmann 1型胃癌と診断され,本院へ紹介された.これまでに食欲不振,体重減少はなく,便通異常,下血にも気付いていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?