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書評「再評価後の抗生物質の使い方」
著者: 長谷川弥人1
所属機関: 1慶応義塾大学
ページ範囲:P.1648 - P.1648
文献購入ページに移動 抗生物質の偉効はあまりにも顕著であるので,かえって“どんな使い方をしてもよい”とか“感受性検査で,感性の成績が出ればそれはすぐ臨床的に効果があることだ”と誤解している方がきわめて多いようである,私は在職中機会ある毎に,抗生物質の選択は原因菌に対する抗菌力のほか,体内分布の状況,血中濃度,疾患の特殊性,副作用などを考慮に入れて決定すべきだと強調して述べていたが,このような状況の改善はなかなかみられなく,単に私の無力を歎くのみであった.最近ある方の調査によると全国大病院の抗生物質の消費量をみると,まちまちであって,一定の傾向を認めないという.これは抗生物質の正しい使用規準が化学療法学会の活動にもかかわらず徹底していない証拠ともいえよう.このような時期に私の敬愛する清水・紺野両博士による『再評価後の抗生物質の使い方』という本が出版されたことは臨床医家のためにも,私自身にとっても大変喜ばしいことである.また患者にとっても大いなる福音であろう,抗生物質は正しい使用法なしでは,治るべき感染症が治らないからである.
執筆者である清水・紺野両博士は周知のように多年この方面の研究に積極的に従事し,かつ臨床経験がきわめて豊富であるし,また再評価の委員として,厄介なその作業に参加し,厖大な文献を精力的に読破批判し,しかも活発な議論を尽くされた方である.このような抗生物質に関する著書の著者として現在における最適任者と断言して憚らない.
執筆者である清水・紺野両博士は周知のように多年この方面の研究に積極的に従事し,かつ臨床経験がきわめて豊富であるし,また再評価の委員として,厄介なその作業に参加し,厖大な文献を精力的に読破批判し,しかも活発な議論を尽くされた方である.このような抗生物質に関する著書の著者として現在における最適任者と断言して憚らない.
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