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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻12号

1978年12月発行

今月の主題 クローン病(3)―疑診例を中心に

主題症例

⑩急性終末回腸炎の1例―Pseudotuberculosis,あるいはabscedierende reticulocytäre Lymphadenitis(Maßhoff)

著者: 五関謹秀13 平沼進1 青井宙三2 関口恒夫3 望月孝規3

所属機関: 1東京医科歯科大学第1外科 2江戸川病院外科 3東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.1689 - P.1695

文献概要

 急性虫垂炎の診断の下に,緊急に開腹したところ,病変は回腸末端部に限局しており,肉眼的には,いわゆるacute terminal ileitisか,腹部悪性リンパ腫であるかの鑑別がつかなかったので,病変部の回腸および局所リンパ節,腸間膜を含め切除し,病理組織学的検索により,腸管には巣状にびらんを形成する,壁全層にわたる急性炎症像が認められた.腸間膜リンパ節の組織像とともに従来,偽結核症pseudotuberculosisとして,あるいは膿瘍形成性細網細胞性リンパ節炎abscedierende reticulocytäre Lymphadenitis(Maßhoff)3)として報告されていた組織像に一致したが,術後1週間目の糞便の培養では,このような病変の起因菌と想定されている4)5) Yersinia pseudotuberculosisおよび類縁のYersiniae enterocoliticaは検出されず,同時に行われた血清学的検索によってもこのYersinia属の両者の菌に対する患者血清抗体価の上昇は認められなかった.

 本症例の肉眼的所見と組織像を中心に検討を加え,かかる病態の診断上の問題点,成因について,また特にいわゆる急性期のクローン病との異同と鑑別についても文献的考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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