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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻12号

1978年12月発行

今月の主題 クローン病(3)―疑診例を中心に

総合評

クローン病疑診の症例をみて

著者: 八尾恒良1 武藤徹一郎2 若狭治毅3

所属機関: 1九州大学第2内科 2東京大学第1外科 3東北大学医学部第2病理学教室

ページ範囲:P.1696 - P.1699

文献概要

①臨床所見から

 前回取り上げられた腸結核疑診例につづいて,本号ではクローン病疑診例が取り上げられた.

 クローン病の疑診例は腸結核のそれと異なり,その解釈がむずかしい.すなわち,腸結核では結核菌の証明,乾酪性肉芽腫など,その所見があれば腸結核としてよいという“腸結核の証拠”が存在し,治療面でも抗結核剤投与による病像の推移を知ることができる.そして,その疑診例ではX線像や肉眼所見,病理組織構築などの面で確診例にその類似を求めればよい.しかし,クローン病では,その確診例としての根拠が“全体の病像”といった曖昧模糊としたものであり,この所見があればクローン病としてよいという決定的なものを欠いている.たとえば臨床所見にしても,腹部症状や炎症所見の有無・程度は種々であり,X線所見や切除標本肉眼所見(ことに大腸)も典型的な所見がみられるものはあっても必ずしも特有なものではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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