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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻2号

1978年02月発行

今月の主題 急性胃潰瘍とその周辺

主題

急性胃潰瘍の診断

著者: 房本英之1 野口正彦1 益沢学1 鎌田武信1

所属機関: 1大阪大学医学部第1内科

ページ範囲:P.185 - P.194

文献概要

 急性胃病変に対する認識は古く19世紀初頭に遡ることができるが,深い関心が寄せられるようになったのはSelyeによるストレスに対する生体の適応と疾患の概念が整理された今世紀半ば以後のことである1).更にPalmer2)の内視鏡を用いたvigorous diagnostic approachの提唱とともに,それまで急性上部消化管出血の原因疾患のわずか数%にすぎないと考えられていた急性胃病変は10~20%の高頻度にみられることがわかり,消化管出血患者に占める位置の重要性は高まっている.

 急性胃病変はTable 1に示すごとく,中枢神経系の障害や熱傷,敗血症,ショック,呼吸不全,精神的ストレスなど種々のストレス状態下やアルコール摂取,アスピリン,副腎皮質ホルモン剤などのulcerogenic drugの投与により惹起される.しかし上部消化管の急性病変に対する定義や用語の混乱は周知のごとくであり,特にびらんと潰瘍,急性潰瘍と慢性潰瘍の区別は臨床上,必ずしも容易ではない.そこで本論文ではわれわれが1972年より現在までに受傷早期よりできる限り経時的に内視鏡検査を施行した重度頭部外傷患者や広範囲熱傷患者,その他の外傷(長管骨骨折,四肢轢断など)計124例(検査回数189回)(Table 2)のうち,急性胃潰瘍と診断した26症例の臨床像および内視鏡所見を中心に,さらに急性胃潰瘍の特殊なtypeである胃巨大帯状潰瘍(Trench ulcer)についても言及し,急性胃潰瘍診断の問題点を検討してみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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