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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻2号

1978年02月発行

胃と腸ノート

「ヘテロケイルス症」の呼称についての私見

著者: 長野一雄1

所属機関: 1函館共愛会病院内科

ページ範囲:P.248 - P.248

文献概要

 本誌12巻9号の「胃と腸ノート」での浅石氏・影井氏らのヘテロケイルス症Heterocheilidiasisに対するご意見を興味深く拝見した.

 1973年この病名を応用して使用することを提唱した1)ところ,アニサキス症研究の先達石倉氏をはじめとして主に寄生虫学の分野よりの異論2)3)があったので,その説明不足を補うべく「内科」4)誌上に私見を詳述した.ご参照いただければ直ちにご理解いただけようが,決してSchaum & Müllerの意見をそのまま踏襲しているのではない.Schaum & Müller論文5)の詳しい説明は省略するが,バルト海の魚を普通はアルコールや水で煮て,ときには未処理のまま食べた26歳青年の小腸漿膜にあった肉芽腫内の変性虫体をContracaecum osculatumと診断した点や,属名をもって病名とする寄生虫学会の旧来の慣習を破って科名をもってHeterocheilidiasis(したがって直訳ではヘテロケイルス科症となる)と名付けた点に問題はあろうが,Anisakis属以外の幼線虫によっても内臓幼虫移行症Visceral larva migransが起こり得る可能性を予見,提唱したことはすばらしい卓見といわねばなるまい.アニサキス症AnisakiasisはかつてVan Thielが“Larvae with the same characteristics as those of larvae found in the human intestinal wall have been found in fresh herring. The worm was first identified as Eustoma rotundatum, on account of the presumed situation of the excretory pore. However, as the excretory tube ends near the ventral larval tooth at the head of the larva and rectal glands are present, the larva is a species of Anisakis. Herring worm disease should therefore be called anisakiasis.”と記載6)14)したことより生まれてきた疾患名である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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