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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻3号

1978年03月発行

今月の主題 クローン病(1)

主題

クローン病の病理

著者: 渡辺英伸1 遠城寺宗知1 八尾恒良2

所属機関: 1九州大学医学部病理学教室第2講座 2九州大学医学部第2内科学教室

ページ範囲:P.351 - P.373

文献概要

 クローン病は腸の炎症疾患の中で,原因不明の代表的なものである.このため病理形態学的にも絶対的な診断基準はなく,現状では種々の病理形態学的所見を総合して診断されている.Crohnらが1932年に初めて一つの独立疾患として報告して以来,クローン病の病理形態の特徴的所見は多くの先達によって挙げられてきた3)9)12)13)15)~18)26)30).しかし,個々の病理組織所見は他の腸炎疾患にも見られるものであり,またときには特徴的病理組織像に乏しいために,病理形態学的にクローン病と診断できないことがある.

 炎症疾患は固定した状態にはなく,種々の過程を経るものであり,特に腸管においては二次感染などにより,ますます複雑な病理形態像を示す.さらに治療によっても同様の現象が見られる.したがって,病変の正確な診断は臨床症状,X線や内視鏡検査,病理組織学的検索などを組合せた総合的視野から行うべきことは当然である.また炎症疾患を病理形態学的に診断しようとする場合でも,われわれはいかなる時期の病変や病変部位を検索しているかを常に念頭に置く必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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