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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻3号

1978年03月発行

文献概要

今月の主題 クローン病(1) 主題

再発を繰り返したクローン病の検討

著者: 野坂純一郎1 福井興1 水野滋1 伊野照子2 吉川宣輝2 植村富士男3

所属機関: 1国立大阪病院消化器科 2国立大阪病院外科 3国立大阪病院病理

ページ範囲:P.375 - P.384

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 クローン病は,口腔から肛門までの消化管のどの部位にも発生し得る線維化や潰瘍を伴う肉芽腫性,全層性炎症性病変で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫などを組織学的特徴とする疾患であるが,しばしば再発を繰り返すこと,腹部の瘻孔,腸の狭窄や栄養障害,貧血,関節炎,虹彩炎,肝障害などによって患者が長期間病苦にあえぐことはよく知られている.われわれの経験した数例のクローン病のうち2例の再発症例をとりあげ,その臨床像を検討したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

症例

〔症例1〕初診時25歳,現在27歳,男子,会社員(営業担当)

 主 訴:右下腹部痛,るいそう

 家族歴:特になし

 既往歴:17歳の時急性虫垂炎にて虫垂切除をうけているほか特記すべきものはない.

 現病歴:1974年5月頃より,食事摂取や排便とは無関係に右下腹部のしくしくする痛みがあり,上腹部の重圧感,腹部膨満感,嘔気などを伴っていた.近医にて十二指腸潰瘍を指摘され,注射療法で上腹部の愁訴は改善されたが,下腹部のとう痛は次第に増強してきたので,1975年4月8日,当科外来を受診した.初診時,身長170cm,体重49kgで過去8カ月間に8kgの体重減少をみていた.食欲は普通で,毎日1行普通便があり,血便,粘液便などの異常はみない.白血球増多12,300,CRP(+++),α2-グロブリン高値15.0%,などを認め,腹痛は一進一退であったので精査の目的で1975年8月29日入院した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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